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国産木材を使用した市立新作小学校木造増築工事見学会~令和5年10月25日実施~

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市内市立小中学校の中で唯一の木造校舎

10月25日(水)、生徒数増加にともなった新作小学校校舎増築工事の見学会が開催されました。普通教室不足のために行われているこの増築工事は、地上3階建ての木造構造で、完成すると現在使用している川崎市立小中学校校舎で唯一の木造校舎になります。見学会は10時と15時の2回に分けて行われ、市職員及び川崎市木材利用促進フォーラム会員の計47名が参加しました。

川崎市では、木材利用促進を進めており、今回のこの増築工事には神奈川県産スギのJAS構造材等、国産の構造材を使用しています。設計は株式会社田設計事務所、施工は株式会社八木工務店、構造設計および木材調達はナイスグループが担当。

使用木材については、土台に宮崎県産ヒノキ、梁材には強度のある長野県産カラマツや栃木県産のスギ、柱材に地元神奈川県産のスギが採用されており、木材使用量に対する木材使用率は増築部分1㎡あたり0.2㎥と、川崎市が策定している「川崎市建築物等における木材利用促進に関する方針」で掲げている木材利用量目標値の1㎡あたり0.01㎥を大きく上回っています。

一般流通材を使用することで様々な課題を解決し、川崎市の公共建築物の木材使用量目標値を達成
神奈川県産スギ材
梁は長野県産カラマツを使用

構造については、狭い搬入経路の対応や学校施設における木材利用の積極的導入を求められていることから、木造を採用することになりました。

大きな窓も設置される

昨今、学校教育施設や子育て施設における木材の活用による効果が注目されており、木造・木質化に関心が集まっています。

校舎の構造設計を案内してくださったナイスプレカット株式会社の山本義和さんは、
「今回の木造校舎の建築については、公共建築物における国産材使用で環境保全につながるという点とともに、1時間耐火構造なので構造材がすべて石膏ボードで覆われてしまいますが、石膏ボードの下であっても心を和らげる効果がある木材の抽出成分が空間に放散されると言われているので、RCで建てるよりも、ここで学習される児童の方が心地よく集中できる環境づくりへの効果があると思います」と話しています。

エレベーター導入部分にも木材を利用

川崎市では今後、建設過程を撮影した映像の活用や、出前授業などの取り組みを通じて木材利用普及促進に活用していくとのこと。参加者からは、今後、このような公共施設が増え、川崎市の教育・子育ての現場で笑顔あふれる木造・木質空間が広がっていくきっかけとなることを期待する声が上がっていました。

新作小学校木造増築棟 概要

1.建物概要(増築部)
  ■構 造 :木造(現存する川崎市立小中学校校舎で唯一)
  ■階 数 :地上3階
  ■延床面積:896.13㎥
  ■部 屋 数 :各階 教室2室(3階のみ多目的室)・相談室・配膳室
  ■完 成 :令和6年2月29日(予定)

2.利用樹木と産地
  ■土 台 :桧(宮崎県産)
  ■梁 桁 :カラマツ(長野県)
        杉(栃木県)
  ■柱   :カラマツ(長野県)
        杉(神奈川県)

3.木材利用量(設計時)
  ■木材使用量:185.7㎥
  ■木質化率:0.2㎥/㎡(川崎市の公共建築物の木材使用量目標値 学校等0.01㎥/㎡)